FRB当局者、少なくとも9月まで利下げ見送り示唆-不確実性を強調
Maria Eloisa Capurro-
何が起きているか理解するのは6月でも7月でもない-NY連銀総裁
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年内利下げ1回にとどまるとの見方強めている-アトランタ連銀総裁
米地区連銀総裁のうち2人は19日、経済の先行きが見通せない中、9月より前に政策金利を引き下げる用意は整っていない可能性があるとの見解を示した。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、全米抵当貸付銀行協会(MBA)が主催したイベントで、「何が起きているのかをわれわれが理解するのは6月でも7月でもないだろう」と発言。「データを集め、状況をよりよく理解し、動向を注視するプロセスになる」と述べた。
連邦公開市場委員会(FOMC)の今後3回の会合は6月と7月、9月に開かれる。
次回6月17、18日に開催されるFOMCでの利下げは、10%未満の確率しか市場に織り込まれていない。フェデラルファンド(FF)金利先物の価格動向に基づくと、年内の利下げは0.25ポイントずつ2回の予想。4月末時点では4回だった。
ウィリアムズ総裁は、トランプ政権の関税措置やその他の政策が米経済に及ぼす影響が予測困難な中、不確実性が政策当局だけでなく、企業と家計も阻害しているとの見解をあらためて強調した。
また、他の多くの米金融当局者と同様に、当局は時間をかけて今後のデータを見極めることが可能だと指摘。インフレは減速し、経済は完全雇用に近い状態にあるとした上で、債務の滞納や消費者の支出意欲を自身として注意深く見ていると述べた。
現行の米金融政策については「やや景気抑制的」であり、良い位置にあるとの見解を示した。
アトランタ連銀のボスティック総裁も19日にブルームバーグテレビジョンのインタビューで同様のトーンの発言をし、当面は金利を動かす考えがないことをうかがわせた。
ボスティック氏は、トランプ政権による貿易交渉が長引き「夏のずっと先まで続くような状況になれば、実際の影響が明らかになるのはその数カ月後になる」と語った。
同日早くのCNBCとのインタビューでは、「経済は非常に流動的で、政策も流動的だ。不確実性が非常に高い」と指摘。「事態の落ち着き先が見えてくるまでに3-6カ月は待つ必要があるだろう」と述べた。
物価の安定と最大雇用の達成という連邦準備制度理事会(FRB)の使命や、将来的な物価に関する消費者の見方に触れ、「期待インフレが懸念すべき方向へ動いているため、インフレ面について大変心配している」と発言。
状況の見極めに時間がかかるため、今年の利下げは1回にとどまるとの見方を強めていると述べた。
一方で、通商協議が予想以上に早く進展し、関税が予想よりも大幅に引き下げられる可能性も依然としてあると述べた上で、「その場合、物価水準の管理という面での対応がさほど必要でなくなる可能性があり、当局は行動を前倒しできるかもしれない」と語った。
また、ジェファーソンFRB副議長も同日、慎重に様子を見る姿勢の重要性を強調。アトランタ連銀が開催した金融市場関連イベントで、「現在直面している不確実性の大きさを踏まえると、今後の政策の展開やその影響を見極めるために、静観するのが適切だと考えている」と発言。
金融政策は「非常に良好な位置」にあるとし、物価水準の上昇が持続的なインフレにつながらないようにすることがFRBにとって重要だと話した。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も同日発言し、今年の早い時期の米経済は堅調な基盤の上にあったとし、インフレ抑制に向けて米金融当局は大きく前進したと述べた。ただ、関税が政策当局に「予想外の事態」をもたらしたため、現在は様子見の状況にあるという。
「われわれは多くの不確実性に対応しようとしている。より多くの情報が得られるまで、基本的には見守るしかない」とカシュカリ氏は話した。
原題:Fed Officials Signal Possible Hold Until at Least September (1)、Fed Officials Signal Possible Hold Until at Least September、Fed’s Bostic Flags Inflation Concerns, Sees One Cut This Year(抜粋)