米小売売上高は2カ月連続で減少、予想以上に悪化-自動車が低迷
Mark Niquette-
5月の小売売上高は前月比0.9%減、1月以来の大幅減-予想0.6%減
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4月も0.1%減に下方修正-2カ月連続の減少は2023年終盤以来
5月の米小売売上高は2カ月連続の減少となった。関税措置と家計の財務状況を巡る懸念を背景に、消費者が支出を抑えている状況が示唆された。3月には駆け込み需要を受けて大幅に増加していた。
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自動車販売の落ち込みが全体を押し下げた。2カ月連続の減少は2023年10、11月以来。

5月は13業種のうち7業種で減少。建設資材とガソリン、自動車の減少が特に大きかった。自動車は関税措置発動をにらんだ動きで、3月には需要が急増していた。小売売上高統計で唯一のサービス分野である飲食店は、23年2月以来の大幅減となった。
自動車を除いたベースでは0.3%減少した。
トランプ政権の関税措置発動を前に、自動車やその他の財には駆け込み需要が見られていたが、5月の統計は消費者がここへきて支出を控えていることを示唆した。
関税措置はこれまでのところ米国のインフレを加速させてはいないが、生活費の高止まりと高金利を背景に、消費者心理は依然として不安定で家計の財務は悪化している。
ブルームバーグ・ニュースの委託で先月実施された世論調査によれば、回答者5人のうち3人は景気後退懸念を理由に支出を抑制。大半が外食や娯楽といったサービス支出を減らしていると回答した。
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国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建設資材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高(コントロールグループ)は0.4%増となった。
キャピタル・エコノミクスの北米担当エコノミスト、ブラッドリー・サンダース氏はコントロールグループが5月に増加し、前月分も若干上方修正されたことに触れ、「消費全般は引き続き健全にみえる」とリポートで指摘。
「5月の小売売上高が弱い内容となったのは、主として関税に伴う駆け込み需要の終了や米東部で例年になく雨が多かったという一時的な要因によるものであり、6月には反転するはずだ」と述べた。
ブルームバーグ・エコノミクスのイライザ・ウィンガー、エステル・オウ両氏は「価格に対する消費者の慎重な反応は、今夏には一段と鮮明になり、一部の小売り業種に重くのしかかるだろう」と指摘した。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US Retail Sales Drop for a Second Month, Dragged Down by Cars(抜粋)