カナダ大手年金基金、50兆円超のグリーン投資表明-「利益上げるため」
Olivia Raimonde-
脱炭素化に取り組む企業や低炭素技術など気候変動対策に投資
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サステナブル投資を巡り政治的な緊張が高まる中で決定
カナダ最大級の機関投資家であるケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)は、サステナブル投資目標への取り組みを一段と強化する方針だ。今年の目標は予想よりも早く達成した。
CDPQは先週、2030年までに、脱炭素化に取り組む企業や低炭素技術など気候変動対策に対し、4000億ドル(約58兆円)を投資すると表明した。
CDPQのプレジデント兼最高経営責任者(CEO)シャルル・エモン氏は「受託者責任の中核を成すサステナブル投資に対するわれわれの信念を再確認している」と声明でコメント。長期的な価値創出や健全なリスク管理を念頭に、投資先企業に「明確で信頼できる」脱炭素計画を採用するよう促していると説明した。

こうした決定はサステナブル投資を巡り政治的な緊張が高まる中で下されたものだ。カナダの年金運用大手、カナダ年金制度投資委員会(CPPIB )は50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を撤回。ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)は4月にサステナブル金融に関するコミットメントを取り下げている。
世界最大の運用会社ブラックロックは最近、米国の複数のサステナブルファンドを閉鎖すると明らかにしたばかりだ。
カナダでは化石燃料への政治的支援があり、年金基金は石油や天然ガスのリスクを考慮した「賢明な投資判断を下す際に課題に直面するだろう」と、サステナブル投資を推進する団体「シフト」はリポートで指摘している。
CDPQのサステナビリティー責任者、ベルトラン・ミロ氏はインタビューで、CDPQの戦略は利他的な動機ではなく経済的なものに基づいていると指摘。「われわれがこの取り組みを進めるのは地球を救うためではない。利益を上げるためだ。それは極めて重要だ」と強調した。
CDPQの声明によれば、化石燃料の代替手段を提供する企業や、自然界の炭素削減を目指す企業、気候変動から地域社会を守る取り組みの強化を図る企業に投資する方針。企業による「気候関連の潜在力実現」を支援するソフトウエア開発企業など、気候ソリューション関連への投資も検討するとしている。
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原題:Canadian Pension Pledges $400 Billion for Green Investing (2)(抜粋)