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日本は抵抗の構え、米政権の対中貿易包囲網に-パイプ維持へ対話

更新日時
  • 日本は関税停止措置の期限切れ前に米国との合意を目指している
  • 米国から中国との経済関係縮小を求められれば日本経済には打撃

日本は中国に対抗する経済圏に参加するよう求める米国の動きに対し、抵抗する意向を示している。日本政府の現職および元当局者が明らかにした。中国とのパイプ維持のため与党幹部が相次ぎ訪中、対話を継続する。

  多くの国・地域と同様、日本も自動車や農業など二国間貿易の分野で米国の懸念に対応することで、トランプ大統領による関税措置から免除を得ようとしている。匿名を条件に語った複数当局者によると、日本は90日間の一時停止措置が期限切れとなる前に米国と合意にこぎ着けたいと考えており、6月開催の主要7カ国(G7)首脳会議の前後で合意を最終決定したい意向を示しているという。

  一方で、日本としては米国が中国に対する貿易圧力を最大化するためのいかなる取り組みにも巻き込まれることを望んでいないと、当局者らは語った。中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、原材料などの重要な供給源でもある。

  日本の外務省にコメントを求めたが、現時点で返答は得られていない。

  米国は中国に関する具体的な要請を日本に対して行っていないが、そのような状況が発生した場合、日本は自国の利益を優先させるだろうと当局者らは語っている。当局者の1人によれば、日本はこれまで複数回にわたり、半導体関連の輸出や規制について米国と完全には足並みを揃えていないことを中国側に伝えている。

  日本を含む各国との通商交渉で主導的な役割を担っているベッセント米財務長官は今月に入り、まず同盟国と貿易協定を結び、その基盤を築いてから中国に対して不均衡な貿易構造を是正するよう集団でアプローチするとの構想を示した。その後にブルームバーグは、トランプ政権が貿易相手国との関税交渉を利用して中国への圧力を強める準備をしていると報じた。

関連記事:狙いは中国包囲網、トランプ政権は貿易相手国に関税妥協の見返り要求

断固として反対

  対米交渉を担う赤沢亮正経済再生担当相は近く再び訪米し、米当局者との2回目の協議に臨む予定だ。

  一方で中国政府は21日、米国と交わす貿易協定が中国の利益を損なうものであってはならないと各国に警告。同国商務省は声明で「他国が米国との貿易紛争を解決する取り組みを尊重するが、中国の利益を犠牲にするような合意には断固として反対する」と強調。そのような事態となれば「決して受け入れず、断固とした報復措置を講じる」と付け加えた。

関連記事:中国、各国に警告-対米交渉で「中国の利益損なう合意」認めない 

  自民党の河野太郎衆院議員は、米国との通商協議を進める前にトランプ氏が抱いているいくつかの誤解をただす必要があると指摘。ブルームバーグテレビジョンとの23日のインタビューで河野氏は「中国に関連する経済安全保障問題とサプライチェーンについては、極めて注意深く対応する必要がある」と話した。

自民党の河野太郎衆院議員がブルームバーグTVとのインタビューで通商問題などを語る
Bloomberg: The Asia Trade”.

  日本は対中貿易を縮小するのではなく、中国が停止した日本産水産物などの輸入再開に向けた働きかけを進めている。そうした取り組みの一環として、複数の与野党議員団がすでに中国を訪問しているか、今後訪問を予定している。

  公明党の斉藤鉄夫代表は23日、中国共産党序列4位の王滬寧・人民政治協商会議(政協)主席と会談。斉藤氏は石破茂首相から習近平国家主席宛ての親書も渡した。さらに、自民党の森山裕幹事長が会長を務める超党派の日中友好議員連盟が27日から29日の日程で中国を訪問する。

  これらの相次ぐ北京訪問には最大の貿易相手国である中国とのパイプを維持する狙いがあるとみられる。森山氏は22日の記者会見で、議連の訪中が両国関係の「具体的な進展につながることを期待している」と述べた。

関連記事:与党幹部が相次ぎ北京へ、対話継続-公明代表に続き自民幹事長も

  日本企業が中国市場を重視している姿勢の表れとして、トヨタ自動車は今週、2027年に上海に新工場を設立することで同市と合意。同工場には約20億ドル(約2850億円)の投資が予定されているという。

難しい綱渡り

  対中貿易は日本の貿易全体の約2割を占めている。ただ、2023年には輸出先として米国が中国を上回って首位になり、その差は昨年さらに拡大した。中国経済の減速などを背景に、多くの日本企業が中国市場の成長性に悲観的な見方を強めてもいる。

  日本は安全保障面では米国に、貿易面では中国に大きく依存していることから、米中間で綱渡りのような外交対応を強いられている。トランプ政権から中国との経済関係を縮小するよう求められれば、日本経済にとっては深刻な打撃となりかねない。

  東京大学の内山融教授は、仮に米中両方との貿易が減ることになった場合、日本にとっては非常に深刻な状況になると指摘。政策当局が中国との関係を断とうとしても、経済界からの反発は避けられないだろうと語った。

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原題:Japan to Resist Trump Efforts to Form Trade Bloc Against China(抜粋)

(森山自民党幹事長ら超党派議員団訪中情報を追加して更新します)
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