NY原油急落、イランの米軍への報復はエネルギー資産に被害及ぼさず
Mia Gindis、Alex Longley-
WTI先物は7%余り下落、中東からの供給が混乱するとの懸念後退
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23日の値動き、エネルギー市場にとっての中東情勢の重大さ浮き彫り
ニューヨーク原油相場は7%余り急落。イランが米軍の核施設攻撃に対して報復したものの、エネルギーインフラには被害を及ぼさなかったことから、中東の原油供給が大きく混乱するとの懸念が後退した。
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ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は1バレル=70ドルを割り込んだ。市場では当初、イランが報復措置の一環としてホルムズ海峡を封鎖するとの懸念が広がっていた。世界の原油の約5分の1が同海峡を通過している。カタール当局によれば、イランのミサイルは迎撃され、人的被害にはつながらなかった。
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23日の相場はバレル当たり10ドルという値幅で推移した。アジア時間に6%余り上げたものの、その後に急落。トレーダーがいかに神経質になっているか、また世界のエネルギー市場にとっての中東情勢の重大さを浮き彫りにした。
CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「原油相場が下げているのは、イランにとってエネルギーインフラが報復の最優先対象ではないとの見方を市場が織り込みつつあるためだ」と指摘。「米国側が事前情報を把握していた可能性があり、今回の行動は本格的なエスカレーションというよりも、イラン側の面目を保つための行動だったことが示唆される」と語った。
需要面でも懸念が広がりつつある。クウェートやバーレーン、イラクなど一部の国は、自国の領空を一時的に閉鎖したと発表。世界の航空輸送に混乱をもたらしている。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物8月限は、前営業日比5.33ドル(7.2%)安の1バレル=68.51ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント8月限は7.2%下落し71.48ドル。
原題:Oil Plunges as Iran Response to US Strikes Spares Energy Assets(抜粋)