アップル株急落、関税がサプライチェーン直撃-時価総額37兆円消える
Mark Gurman-
米国で販売されるアップル製品の多くは依然として中国で生産
-
脱中国依存で製造拠点を移転したベトナムやインドにも高関税
米アップルは長年、貿易戦争やサプライチェーンの混乱から身を守るための取り組みを進めてきた。そして今、トランプ米大統領が打ち出す関税政策の矢面に立たされている。
ホワイトハウスが2日午後に発表した相互関税では、中国には新たに34%の関税が賦課される。先に導入された分も含めると中国製品への関税率は合計で54%に達することになり、同国を中心に組まれたアップルのサプライチェーンに大きく影響するとみられる。
関連記事:米政権が対中関税54%賦課へ、中国輸出に「バズーカ砲」級の大打撃
アップルはサプライチェーンの脱中国依存も進めてきたが、相互関税は同社の生産拠点がある他の国々も対象だ。米国で販売されるアップル製品の多くは依然として中国製だが、サプライチェーンは様々な国にまたがる。各国に課される相互関税率は以下の通り。
- インド:27%(iPhoneやAirPodsの生産を拡大)
- ベトナム:46%(AirPods、iPad、Apple Watch、Macの一部を製造)
- マレーシア:24%(Macの生産を強化)
- タイ:37%(Macの一部を製造)
- アイルランド:20%(一部のiMacを製造)
3日の米株式市場で同社の株価は一時8%余り下落。時価総額で2550億ドル(約37兆2300億円)余りが吹き飛んだ計算だ。アップルの広報担当にコメントを求めたが、現時点で返答は得られていない。
アジア依存が痛手に
トランプ関税は、世界のテクノロジー企業がいかにアジアのサプライヤーに依存しているかを浮き彫りにした。
業界内でも特に広範なサプライチェーンを持つデル・テクノロジーズの株価も一時17%安と急落。同社は、関税への対応として価格を調整する必要があるかもしれないとしている。
ただ、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のテクノロジーアナリスト、アヌラグ・ラナ氏は「関税の影響を相殺するために各社が値上げするとは考えにくい」とし、結局は利益が圧迫される公算が大きいとの見方を示した。
この日はアップルのサプライヤーの株価も軒並み下落。ジェフリーズのアナリスト、エジソン・リー氏は「単純に考えれば、アップル製品が今回の関税の影響を受け、その結果として需要が落ち込み、サプライチェーン全体が打撃を受けるということだ」と述べた。
ゴールドマン・サックスが算出するアップルのサプライヤー各社をまとめた株価指数は10%余り下落。1日当たりの下げ幅としては、新型コロナ禍が本格化した2020年3月以来の大きさになる見通し。同指数は1月に付けた高値から約30%下げている。

原題:Apple Suppliers Tumble as Tariffs Hit iPhone Supply Chain、Apple Production Hubs Hit by Tariffs, Sending Stock Plunging (2)(抜粋)