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トランプ氏がゼレンスキー氏非難強める、「有害」な声明で交渉難航

更新日時
  • ゼレンスキー氏の「挑発的な声明」で戦争の解決困難に-トランプ氏
  • ウクライナと欧州、領土交渉の前に停戦が先と米国に通知-関係者

トランプ米大統領はウクライナのゼレンスキー大統領に対し、ロシアとの和平合意案を受け入れるよう圧力を強めている。和平案はロシア側に有利との批判もある中、トランプ氏は4年目に入った戦争を長期化させているのはゼレンスキー氏だと非難した。

  トランプ氏は23日に大統領執務室で、「われわれはロシアとは合意したと思うが、ゼレンスキー氏との合意をまとめねばならない。ゼレンスキー氏との交渉はもっと簡単だと考えていたが、これまでのところ、より難航している」と語った。

  数時間前にもトランプ氏はSNSでゼレンスキー氏を痛烈に批判。クリミアをロシア領としてウクライナが認めることはないとのゼレンスキー氏の声明は交渉に「有害」だとし、「このような挑発的な声明が、戦争の解決をひどく難しくしている」と主張。「クリミアは争点ですらない」と言い放った。

  トランプ氏はまた、週末にローマで開かれるフランシスコ教皇の葬儀に出席する際に、ゼレンスキー氏と会談するかどうかは分からないと述べた。ゼレンスキー氏は葬儀に合わせてトランプ氏との会談を希望する意向を示していた。

  一方でトランプ氏は、ロシアのプーチン大統領との会談が間もなく実現すると思うと述べ、来月のサウジアラビア訪問中に会談の可能性はあるが、その後の方が可能性は高いと話した。

  合意を急ぐトランプ氏に対し、ウクライナとその欧州の同盟国は和平案が同国と欧州の安全保障を犠牲にする恐れがあるとして、米国側の動きを鈍らせたい構えだ。事情に詳しい関係者によると、和平合意に領土交渉が含まれる場合、停戦とウクライナに提供する安全保障の明確化が必要だと主張しているという。

President Trump Meets Ukrainian President Zelenskiy At White House
ホワイトハウスで会談したゼレンスキー氏(左)とトランプ米大統領(2月28日)
Photographer:Jim Lo Scalzo/EPA/Bloomberg

  トランプ氏は2月のゼレンスキー氏とのホワイトハウスでの会談でも意見が衝突した。トランプ氏は和平案の受け入れを繰り返し迫っており、合意の成立が近く見込めない場合には、戦争終結の取り組みから撤退する可能性を示唆した。

  米当局者は先週パリで開かれた会合で、欧州とウクライナに対し、既存の戦線に沿って紛争を事実上凍結する新たな戦争終結案を提示した。国際的にウクライナ領と認められているクリミアについて、米国はロシアによる占領を承認し、対ロ制裁を緩和する用意もあるとしている。

  バンス米副大統領は23日に訪問先のインドで、いかなる合意にも「一部の領土交換」が含まれる必要があり、国境は現在の前線とは一致しない可能性があると指摘。米国はロシアとウクライナに対し「極めて明確な和平案」を提示しており、両国が同意しない場合、米国は和平交渉から離脱する可能性があると警告した。

  ゼレンスキー氏は23日にロンドンで行われた米国、ウクライナ、主要欧州諸国の当局者による会談について、「5カ国が和平に近づけるための会談を行ったことは良いことだ」とSNSに投稿。さらに、「米国はロシアのクリミア併合の試みを拒否し、ウクライナの領土一体性が回復されるまでこの政策を維持する」と明言したトランプ政権1期目の米国側の声明をコメントなしで添付した。

  23日の会合を前に、ウクライナと欧州の当局者は戦闘を停止させロシアの全面侵攻を終結させるための米国案について、順序のさらなる詳細を求めた。ロシアとの合意にはやる米国がウクライナに厳しい条件を押しつけようとする中で、欧州は交渉に影響力を行使しようと試みた。

  関係者によると、ウクライナと欧州諸国は米国案を支持する方向で取り組むことに前向きだが、ロシアが停戦に同意する意思があるとの保証を取り付けたい考えだ。それによって、最終的な和平合意を交渉する余地も生まれると、関係者は述べた。

  また、ロシアが西側諸国によるウクライナの安全保障確保を認め、ウクライナが適切な人員と装備を持つ軍隊を維持できる合意を受け入れる意思があるのか確実にしたいとの考えも、ウクライナと欧州諸国にあるという。関係者は匿名を条件に説明した。

 

  欧州諸国の間では、戦闘停止を急げばウクライナがますます不利な状況に置かれかねないとの懸念が膨らんでいる。ウクライナは30日間の無条件停戦に合意する用意があると表明しているが、ロシアは最終的な合意条件に焦点を当てる交渉戦術をとっている。ロシアはあらゆる停戦交渉で厳しい姿勢をとり、最近失効したエネルギー施設・インフラに対する30日間の攻撃停止でも、ロシアはウクライナが違反したと一方的に非難した。

  ウクライナのイェルマーク大統領府長官はロンドンでの会議終了後、同国はトランプ氏の和平の取り組みに引き続きコミットし、定例の協議は継続すると、ソーシャルメディアのテレグラムに記した。会合の前に同氏は、「完全かつ無条件の停戦」が「全面的な解決プロセスと公正かつ持続可能な和平実現」への第一歩になると投稿していた。

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原題:Trump Ramps Up Pressure on Zelenskiy to Accept Peace Deal (3)、Trump Calls Zelenskiy’s Comments ‘Harmful’ to Negotiations、Ukraine, Europe Insist Russia Truce Must Precede Any Land Deal(抜粋)

(トランプ氏の発言などを追加して更新します)
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