【焦点】FRBが重視する物価指数、小幅な伸びにとどまる見通し
Vince Golle、Craig Stirling-
5月のPCEコア価格指数、前月比0.1%上昇の見通し
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パウエル議長、半期に一度の金融政策報告についての議会証言へ
米連邦準備制度がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)のコア価格指数は、5月も小幅な伸びにとどまったと予想されている。米金融当局はトランプ政権の関税政策の影響が今年後半により鮮明になるとみているが、5月の統計にはほとんど表れないもようだ。
PCE統計は27日に発表される。それに先立ち、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は24日に下院金融委員会の公聴会で半期に一度の金融政策報告について証言し、25日には上院銀行委員会でも証言を行う。
パウエル議長は、年内の利下げがあり得るとした上で、ホワイトハウスの通商政策による経済への影響がより明確になるのを待ちたいと強調し、慎重な政策運営の正当性を説明する公算が大きい。
連邦公開市場委員会(FOMC)は先週17、18両日に開催した定例会合で、主要政策金利を据え置くことを決めた。
エコノミストの予想では、食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は5月に前月比0.1%上昇となる見込み。この3カ月間の動向は、5年前の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期以来、最も落ち着いたものとなる。

米金融当局者は、トランプ政権による関税の拡大適用が、いずれ物価上昇圧力をもたらすと見ている。しかし、当局者の最新の経済予測では、今年の経済成長の鈍化と失業率の上昇も見込んでいる。
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ウォラーFRB理事は20日、CNBCに対し、輸入関税によるインフレへの影響は短期的なものにとどまる可能性が高く、来月にも利下げを実施する余地があるとの見解を示した。次回のFOMC会合は7月30日に予定されている。
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27日発表のPCE統計では、個人消費支出が2カ月連続で緩やかに増加したことを示すと予想されている。この2カ月間には、関税引き上げによる物価への影響に対する懸念が高まり、消費者心理が大きく冷え込んだ。
エコノミストらは、消費者が支出を継続できるかどうかを判断するため、個人所得のデータにも注目している。4月までの3カ月間でインフレ調整後の可処分所得の伸びは平均0.6%と、過去2年余りで最も高い水準となった。
この週には6月の米消費者信頼感指数や5月の米新築住宅販売件数、中古住宅販売成約指数も発表される。
FRB当局者では、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁らの講演も予定されている。
トランプ米大統領がイランの主要な核関連施設3カ所への攻撃を命じ、さらなる攻撃も辞さないと発言したことを受け、週明けに原油相場の急伸が見込まれている。海上輸送のコストにも大きく影響する見通しだ。市場関係者は、サウジアラビアやイラク、アブダビ、カタールを含む湾岸産油国からの供給の安定性について懸念を強めている。
仮にホルムズ海峡が封鎖される事態になれば、ブレント原油相場は1バレル=約90ドルに跳ね上がる可能性がある。シティグループが米国による今回のイラン攻撃前に試算していた。
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原題:Mild US Inflation Is Backdrop for Fed’s Powell on Hill: Eco Week(抜粋)