製薬業界、1兆ドルの収入減と反発-トランプ氏の新たな薬価設定方針
Rachel Cohrs Zhang-
メディケイドの薬価を海外での安価な価格に連動させるよう要求
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製薬業界は積極的にロビー活動、複数の幹部が今週議員らと面会準備
トランプ米大統領が打ち出した薬価設定に関する新たな方針について、製薬業界は10年間で最大1兆ドル(約143兆円)の収入減につながる可能性があると試算している。
ホワイトハウスは先週、この方針を示した。寝耳に水だった製薬業界はそれを受け、ロビー活動を精力的に進めている。
10人ほどの業界ロビイストやコンサルタントによれば、医薬品業界の複数の幹部が今週、連邦議会議員の元に出向く準備をしている。公に話す権限がないとして匿名を条件に語った。
ホワイトハウスは下院共和党に対し、メディケイドにおける医薬品の価格を、海外でのより安価な価格に連動させるよう求めた。これにより製薬会社は多額の収入を失うことになる。トランプ氏は以前にも同様の提案をしたことがあったが、低所得者や障害者向けのこの医療保険制度を対象としたことに業界内では動揺が広がっている。

ロビイスト数人によると、業界団体の米国研究製薬工業協会(PhRMA)は4日に理事会メンバーと緊急の電話会議を行い、対応策を議論した。世界的な医薬品会社の幹部らは今週ワシントンに集い、対面で理事会を開催する。理事会自体は以前から予定されていた。
「国際参照価格制度」と呼ばれるこの政策に関し、製薬業界が議会共和党やホワイトハウスに対してどの程度影響を及ぼすことができるかが試されることになる。
PhRMAの広報担当者アレックス・シュライバー氏は「政府による価格設定は、いかなる形であれ米国の患者にとって有害だ。メディケイドに海外の参照価格制度を導入しても、患者にとっては節約にならず、実際には負担が増える可能性がある」と書面で指摘した。メディケイドでは大半の患者が支払う医薬品価格が低く抑えられている。
メディケイドにおける医薬品価格は、病院向けの別の薬価割引プログラムと連動している。
バイオテクノロジー業界団体BIOの広報担当者は、国際参照価格制度を導入すれば特に中小の革新的バイオテクノロジー企業にとって大打撃となると述べた。
トランプ政権1期目にホワイトハウスで内政を担当したジョー・グローガン氏は、トランプ氏の1期目や選挙キャンペーンでの行動を見れば、医薬品価格の引き下げや米国内での医薬品生産に関する同氏のこだわりは驚きではないと指摘。
「トランプ氏は本気ではないとの考えが業界内にあったとしたら理解に苦しむ。これ以上ないほど明確にしていたはずだ」と述べた。
原題:Drugmakers Fight Trump Price Plan Said to Cost Them $1 Trillion(抜粋)