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米PCE価格指数、ほぼ1年ぶりの横ばい-関税前駆け込みで消費強い

更新日時
  • PCEコア価格指数も横ばい、前年比では予想通りの2.6%上昇
  • インフレ鈍化と堅調な消費、トランプ関税前の健全な経済を浮き彫り
Shoppers at a record store in Atlanta, Georgia.
Shoppers at a record store in Atlanta, Georgia. Photographer: Dustin Chambers/Bloomberg

3月の米個人消費支出(PCE)統計では、インフレ調整を加えた実質PCEが0.7%増と、2023年1月以来の大幅増加となった。トランプ関税が幅広い品目の価格を押し上げると見込まれる中、駆け込み消費が活発だったことを示唆。一方で、価格指数はインフレの鈍化を示した。

キーポイント
  • PCE総合価格指数は前月比変わらず
    • 市場予想も前月比変わらず
    • 前年同月比では2.3%上昇-予想は2.2%上昇
  • PCEコア価格指数は前月比変わらず-予想は0.1%上昇
    • ほぼ5年ぶりの低い数値
    • 前年同月比では2.6%上昇-予想と一致

  これより先に発表された1-3月(第1四半期)の国内総生産(GDP)は、22年以来のマイナス成長。関税発動前の記録的な輸入急増や個人消費の低調が響いた。PCEコア価格指数は3.5%上昇。市場予想は3.1%上昇だった。

  3月PCE発表後の金融市場ではS&P500種株価指数が軟調を維持、米国債相場は小動き、ドルは上昇した。

  インフレ鈍化と健全な消費の組み合わせは、関税発効前の米経済が良好な状況にあったことを示唆した。米政府の貿易政策で物価圧力が再び強まり、消費が落ち込むと広く専門家の間で予想されている。

動画:Mike McKee 記者がPCEについてリポート
出所:ブルームバーグ

  3月統計では実質可処分所得が約1年ぶりの大きな伸びとなった。これが消費を後押しし、特に自動車など耐久財の購入を支えた。耐久財消費は23年初め以来の大幅な伸びを記録。サービスへの消費も上向き、外食の回復が顕著だった。

  食品とエネルギーを除いたコア財価格指数は今年初の低下となった。注目度の高い、住宅とエネルギーを除くコアサービス価格指数はほぼ変わらず。20年以来の低い数字だった。

  企業は関税によるコスト高の一部を消費者に転嫁するというのが、一般的なエコノミストの予測だが、長引くインフレによる消費疲れを理由に、上昇分を吸収せざるを得ないと示唆する小売業者もある。

  中国発のファッション通販大手SHEIN(シーイン)や、米消費財大手プロクター&ギャンブル(P&G)などはすでに値上げを実施したか、値上げを計画している。アメリカン航空やゼネラル・モーターズ(GM)は先行きの見通しが困難であることを理由に業績ガイダンスを撤回した。

  ナード・ウォレットのシニアエコノミスト、エリザベス・レンター氏は「関税がインフレ再燃と景気減速を同時に誘発する可能性は十分にある」とリポートで指摘。「このために二大責務を抱える連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレを抑制するのか、労働市場への影響を最小限に抑えるのか、優先順位を付けるのが複雑になる」と述べた。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のスチュアート・ポール、イライザ・ウィンガー、エステル・オウ3氏は「政策の不確実性とセンチメント悪化で消費者マインドはさらに悪化する。企業は投入コストの上昇を価格に転嫁しようとする。従って向こう数カ月の需要は縮小が予想される」と分析した。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Consumer Spending Jumps While Key Inflation Gauge Slows Down(抜粋)

(リードを差し替え、エコノミストのコメントを追加します)
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