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中ロ、イラン支援に動かず-軍事的劣勢にも兵器供給の兆候なく

  • イスラエルのイラン攻撃を非難も、中国は物質的な支援を提供せず
  • プーチン氏もイランを守る構え見せず、仲介役の提案にとどまる、
WATCH: Senior US officials are preparing for the possibility of a strike on Iran in the coming days, according to people familiar with the matter. President Donald Trump has for days publicly mused about calling for such a strike, which has been engaged in a war with Israel for nearly a week. Bloomberg’s Paul Wallace breaks down the situation.

中国とロシアは、イスラエルのイラン攻撃に早くから非難の声を上げたものの、過去数十年で最大の軍事的試練に直面するイランに対して兵器供給などの支援を行う様子は全くない。

  両国は事態のエスカレートを繰り返し警告している。中国は19日、米国などの国々に対話を受け入れ、「中東が大混乱に陥るのを防ぐよう」あらためて呼び掛けた。それでも中国は通常の貿易関係を継続する以外、イランに物資的な支援を提供していない。これはウクライナ戦争開始後にロシアに対して採ったのと同様のアプローチだ。

  中国政府はロシアのプーチン大統領が開始したウクライナ戦争に外交的な支援を施し、軍民両用品を輸出している。だが、米国の制裁を回避するため直接的な兵器供給は慎重に避けている。

  「中国はイランに対し経済面や口先の支援を行っているかもしれないが、実際の軍事介入は議題に上ってすらいない」と、米シンクタンクの大西洋評議会グローバル・チャイナ・ハブで客員研究員を務める宋文笛氏は説明。「中国はイランの戦争で、トランプ政権を後ろ盾とするイスラエルとの争いに巻き込まれるリスクを冒したいとは考えていない」と分析した。

  ロシアは2022年に開始したウクライナ侵攻で、イランから攻撃用ドローン(無人機)の供給を受けた。イランはロシアと共に、シリアのアサド体制を支えてもいた。こうした関係強化にもかかわらず、イランはロシアから目に見えるような支援を受けていない。

  プーチン氏はイスラエルとイランの仲介役を務める意向を示し、それをトランプ米大統領との電話会談でも伝えた。だが、この動きは中東における戦略的なパートナーであるイランを守るためではなく、ウクライナでの戦争から世界の注意をそらし、トランプ氏との関係改善を図る日和見的な側面が強いと見なされている。同じくウクライナ戦争を支援した北朝鮮にロシアは石油や食料を提供しているほか、軍の近代化を支援したともみられており、対応は雲泥の差だ。

不干渉主義

  米国は自国から遠く離れた戦争に関与してきた歴史があるが、中国はそれに消極的で、その姿勢は習近平国家主席の外交政策の特徴でもある。この不干渉主義によって中国は米国との差別化に成功し、グローバルサウスに対しても融資や開発で関係強化を図る一方、体制転換の要求は控えている。

  習氏は19日行ったプーチン氏との電話会談で中東情勢を協議し、停戦と「戦争終結」を呼び掛けた。「国際社会、とりわけ紛争当事国に特別な影響力を持つ大国が状況の沈静化に寄与する取り組みを行うかどうかだ」と習氏は述べ、暗に米国に対応を迫った。

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  中国とイランはここ数年に外交・経済面の結びつきを強めたが、正式な同盟関係にはない。習氏は上海協力機構(SCO)、次いで主要新興国から成るBRICSにイランを迎え入れた。一方で、中国はイランと2021年に25年間にわたる戦略協力協定を結び、この中で中国は4000億ドル(約58兆3000億円)を投資すると約束したとされる。だが、実施状況はあまり芳しくない。ロシアはイランと戦略パートナーシップ条約を結んでいるが、北朝鮮と締結した協定とは異なり、相互防衛の義務はない。

経済利益

  中国が湾岸地域全域に持つ経済的利益は、イランとの経済的な結びつきよりもはるかに大きい。米戦略国際問題研究所(CSIS)によると、二国間の経済関係ではイランの貿易のおよそ3分の1を中国が占めているのに対し、中国にとって対イラン貿易が全体に占める割合は1%に満たない。米国の制裁にもかかわらず中国はイランの石油輸出の約9割を購入しているが、究極的には代替可能だ。

  フィッチ・レーティングスは16日付のリポートで、「イランの原油輸出全てが失われるという可能性の低い展開があるとしても、OPECプラス各国の余剰生産能力で補えるだろう」と指摘した。

  中国が既に、石油調達先をシフトさせつつある兆しも表れている。二次制裁拡大への懸念が膨らむ中で、中国の民間製油業者は過去数週間でイラン産原油の購入を削減した。エネルギーの流通動向を調査するボルテクサのデータによると、5月の中国のイラン産原油輸入量は3カ月ぶりの低水準だった。

  中国は23年にイランとサウジアラビアの外交的和解を仲介したが、今回の中東での緊張再燃では、ほぼ傍観を維持している。

  イスラエルの軍事的優勢に直面するイランは、先進的な防空システムと戦闘機を必要としている公算が大きいが、中国が提供する可能性は極めて低い。米国は今年初めに香港と中国の6社に対し、イランのドローン部品調達を支援しているとして制裁を科したが、公には中国は2005年以降、イランへの大型兵器売却を停止している。

  もう一つの選択肢は仲介役を務めることだろうが、習氏にその意思があるとしても、双方に歓迎されるかは定かではない。中国がパレスチナの立場に同調してきたことから、イスラエルが中国の仲介を受け入れる公算は小さい。また、中国は主導的な役割を担うよりも、国連などの多国間の枠組みを通じた関与を好む傾向にある。

  「習氏は支援の意向を示しているが、同氏や中国に実際何ができるだろうか」と、米バックネル大学の政治学・国際関係学教授、朱志群氏は問い掛け、仲介は「米国など他の主要国の協力なしには、極めて難しい注文だ」と指摘した。

  中国にとっては恐らく、戦争が米国の直接関与を伴って中東全域に拡大し、中国のエネルギー安全保障が脅かされる事態に発展することが最大のリスクだろう。中国は原油の純輸入国で、輸入する原油の約45%がホルムズ海峡を通過する。

原題:Xi Shows No Sign of Rescuing Iran as Trump Ramps Up Pressure(抜粋)

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