トランプ氏、対中関税の維持を強調-交渉のための引き下げ否定
Skylar Woodhouse-
米中が関税引き下げで合意に至るまでの困難な道のり浮き彫り
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米財務長官と通商代表、中国と貿易で閣僚級協議へ

トランプ米大統領は7日、中国との通商交渉を進展させるために先に関税を引き下げるつもりはないと述べた。中国を本格的な交渉の場に引き出すために関税を引き下げる用意があるかと記者に問われ、トランプ氏は「ノーだ」と言明した。
ベッセント米財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表は今週スイスを訪問し、中国の何立峰副首相らと貿易協議を行う予定となっている。トランプ米政権が中国製品に合計145%の追加関税を課し、中国側も報復関税の税率を125%に引き上げた後、米中の閣僚級の正式協議開催が確認されるのは今回が初めて。
関連記事:米財務長官と通商代表、中国と貿易で閣僚級協議へ-スイスで今週会談

トランプ氏の姿勢は、米中両国が関税引き下げで合意に至るまでの困難な道のりを浮き彫りにしている。米中両国が協議を開始すると6日に発表したことで、関税合戦が経済に打撃をもたらすとの懸念はいったん緩和。しかし、トランプ氏の発言が改めて現実を突きつける格好となった。
同氏は、交渉を持ちかけたのは米国だという見方を否定。「交渉がワシントンの要請で始まったと主張している人たちは、自分の資料をもう一度見直すべきだ」と述べた。さらに、米国は対中貿易でかつては「年間1兆ドルを失っていた」が、「今は何も失っていない」と続けた。
中国商務省は2日、米国との通商協議の可能性を現在検討しているとの報道官談話を発表。同省報道官は、米高官が関税を巡り中国側と交渉する用意があると繰り返し表明しているとしていた。
トランプ氏はここ数日、中国に対する関税をいずれは引き下げる用意があると示唆している。一方で、製造業の雇用を国内に取り戻すという自身の取り組みを成功させるため、消費者はある程度の物価上昇を受け入れる覚悟があると主張している。ただ世論調査では、トランプ氏の関税措置および経済運営について多くの回答者が不支持を示している。
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原題:Trump Says He Won’t Lower China Tariffs to Jump-Start Talks(抜粋)