イランの報復、象徴的な武力行使か-トランプ氏に出口提供との見方
Peter Martin、Donato Paolo Manciniイランは米軍による核施設空爆への報復として、カタールの米軍基地にミサイル攻撃を行ったが、これは事前に十分予告されたものだった。イランが緊張緩和の余地を残しつつ、象徴的な武力誇示を狙った可能性がある。
イランは23日、カタールの米空軍基地を短距離および中距離弾道ミサイルで攻撃した。関係者によると、基地はすでに大半が避難済みだった。イランの国家安全保障最高評議会は、今回発射したミサイルの数は米国が週末のイラン核施設攻撃で投下した爆弾の数と一致していると説明。攻撃は友好的な兄弟国とするカタールに「危険を及ぼすものではない」と主張した。
西側情報機関の評価に詳しい関係者の1人は、この攻撃を「出口戦略を伴う」エスカレーションの典型例だと指摘。イスラエルが軍事行動をどの時点で、もしくはそもそも停止するのかを見極めることの方が一段と難しいと警告した。
イランの攻撃を受けて原油価格は下落。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は6%余り下落し、1バレル=70ドルを割り込んだ。イランの攻撃が当初の懸念されていたほど深刻ではなく、中東からの原油供給に支障が出るとの警戒が後退したことを反映している。
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米情報機関で中東地域担当の副責任者を務めたジョナサン・パニコフ氏は「演出された、意図的な」行動のように見えると指摘する。その上で「イランは実際はそうでなくとも、国民に対して米国に大打撃を与えたと主張できる。そして、トランプ氏には報復しないことを選ぶ余地が生まれた」と述べた。

原題:Iran Missile Strike on Qatar Base Fits De-Escalation Playbook(抜粋)