独仏、強力な報復措置主張-マクロン氏は対米投資見合わせ促す
Jorge Valero、Alexander Weber、Alberto Nardelli-
ハイテクやサービスを標的とする措置検討-デジタルサービス税など
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EU通商担当相は7日に会合、米国の措置とEUの対応について協議
フランスとドイツは、トランプ米大統領の関税措置に対してより強い対応を求め、交渉で欧州連合(EU)の立場を強化できるような強力な報復措置を主張している。
フランスのマクロン大統領は企業に対し、米国での投資を見合わせるよう呼び掛けた。マクロン氏は、関税による影響を受ける業界団体との会合を前に、米国が欧州に対して攻撃的な態度を取っている中、企業が米国で投資することはほとんど無意味だと発言した。
同氏は「大手欧州企業が米国経済に巨額の投資を行っている一方で、われわれを攻撃するとはどういうメッセージなのか」と述べ、「われわれは団結しなくてはならない」と語った。
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匿名を条件に取材に応じた関係者の1人は「仏政府はEUが自らの利益を守るためにあらゆる手段を講じることを望んでいる」と述べた。
トランプ氏は2日、EUからの輸入品に20%の関税を課すと発表。関税は4月9日に発動するとしている。同氏はEU加盟国が米国から「ぼったくっている」という主張を繰り返し、「情けない」ことだと批判した。
ドイツのハーベック副首相は3日ベルリンで記者団に「昨夜の決定は、ウクライナに対する侵略戦争に匹敵するものだ。対応の規模と決意は、それに相応するものでなければならない」と語った。

ソフィー・プリマス仏政府報道官はRTLラジオで、EUの行政執行機関である欧州委員会は4月末までに米企業にデジタルサービス税を適用する準備ができると述べた。米国はEUとのサービス貿易が黒字となっており、このような措置は米国との関係を悪化させる可能性が高い。
EU全域にわたる課税を実施するには、加盟27カ国の合意が必要となる。
トランプ氏が発表した相互関税は、関税や国内規制、税金など、米国の輸出が海外で直面する貿易障壁すべてを標的とすることを意図している。
欧州委のフォンデアライエン委員長は先に、EUは報復関税や米国のサービスおよびテクノロジー企業を標的とした措置など、「多くのカードを保有している」と述べていた。
トランプ氏が鉄鋼とアルミニウム、自動車と一部の自動車部品に25%の輸入関税を課すと発表した後、EUは金属関税への対抗措置として最大260億ユーロ(約4兆2000億円)の措置を発表しており、4月中旬に発動する見通し。
トランプ氏は木材、医薬品、半導体を含む製品を対象に分野別関税も計画している。
ショルツ独首相は3日ベルリンで「EUは世界最大の単一市場だ。従って、団結して断固とした対応を取る力があり、われわれにはわれわれの手段があることを示すことがでる。それらの手段は使用されるだろう」と述べた。
フランスなどは欧州委に対し、EUの最も強力な通商手段である「反威圧措置(ACI)」の適用を検討するよう呼び掛けているとブルームバーグが以前報じた。
「ACI」はこれまで一度も発動されたことがない。これを発動すればEUは、貿易やサービス、特定の知的財産権、外国直接投資、公共調達へのアクセスに制限を課す可能性がある。
別の関係者によると、米国側が交渉による解決に関心を示していないため、EUでは懸念が高まっている。ACIは議論のテーブルには上がっているが、その影響が甚大になる可能性が高いことから、最後の手段と見なされている。

EUの通商担当相は7日に会合を開き、米国の措置とEUの対応について協議する予定。
フォンデアライエン氏は関税に対して断固とした相応の対抗措置を取ると約束しているが、EUとしては対立を避け今後数週間のうちに交渉による解決策を見つけたいとも示唆している。
トランプ氏の政策は、米国への輸出国全てに基本税率10%の相互関税を課し、対米貿易黒字の大きい約60カ国・地域を対象に上乗せ税率をそれぞれ適用するという内容。
関税対象が幅広いため、EUが同様の考えを持つ国々と協力することになるかもしれないとハーベック氏は指摘。「新たな同盟の機会が生まれている」とし「カナダやメキシコとの同盟を築くことが今日の急務」だと述べた。
原題:Germany and France Push for a More Aggressive Tariff Response
France’s Macron Urges EU Companies to Pause US Investments (1)
(抜粋)