イランによる緊張緩和演出の報復攻撃、トランプ氏は歓迎の意
Peter Martin、Donato Paolo Mancini-
「事前に通知してくれたおかげで死傷者は出なかった」-トランプ氏
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原油価格下落、イラン側の限定的反応は緊張緩和の兆しとの見方

カタールも米国も、ミサイル攻撃を受けることを把握していた。イランが事前に伝えていたためだ。
標的となったドーハ近郊の米空軍基地では事前に避難が完了していた。ミサイルは空中で迎撃され、死傷者は出なかった。こうして、イランが「報復」と位置づけた23日の攻撃は終わりを迎えた。週末にトランプ大統領が命じたイラン核施設攻撃に対する報復だった。
さらに驚くべき展開として、トランプ氏はその数時間後、イランとイスラエルが「完全かつ全面的な停戦」に合意したと発表した。
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米情報機関で中東地域担当の副責任者を務めたジョナサン・パニコフ氏はイランによる報復攻撃について、「演出された、意図的な」行動のように見えると指摘。「イランは実際はそうでなくとも、国民に対して米国に大打撃を与えたと主張できる。そして、トランプ氏には報復しないことを選ぶ余地が生まれた」と述べた。

原油相場はトランプ氏の停戦発表後、下げ幅を拡大した。
イランによる米軍基地への報復攻撃後、トランプ大統領はソーシャルメディアへの投稿で、「イランが事前に通知してくれたおかげで、死傷者は出なかった」と述べ、「イランは恐らく、この地域における平和と調和に向けて前進できるだろう。私はイスラエルにも同じことを強く促したい」とした。
この投稿は、ここ数日間のより好戦的な発言とは対照的だ。週末にバンカーバスター爆撃による空爆を命じた後には、イランの「体制転換」に言及。イランが報復に出れば「はるかに大きな」武力で応じると警告していた。
イランのミサイル攻撃が限定的で、事前通告があったことは、トランプ氏にとって潜在的な出口戦略として歓迎されたようだ。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の新興市場チーフエコノミスト、ジアド・ダウド氏は23日のイランの行動は「ほぼ象徴的な報復」だったように見受けられると述べ、「カタールは領空を閉鎖し、米国は国民に警告を発するなど、十分な警告があった」と述べた。
トランプ氏によると、イランはカタールの基地に向けてミサイル14発を発射したが、13発は撃墜され、1発は脅威とならない方向へ飛んでいため撃墜されなかった。トランプ氏は、「最も重要なのは、彼らが『システム』から全てを吐き出したことだ。これ以上の憎悪がないことを望む」と付け加えた。数分後に別の投稿で、「世界よ、おめでとう。今こそ平和の時だ!」と主張した。

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原題:Trump Thanks Iran After Attack Choreographed to De-Escalate (1) (抜粋)