マスク氏、トランプ減税法案を痛烈批判－無駄だらけの「愚策」

トランプ米大統領の盟友である資産家イーロン・マスク氏は、トランプ氏の看板政策である大型減税法案を痛烈に非難し、財政を破綻させる「愚策」だと切り捨てた。共和党内の財政タカ派からも、この巨額財政パッケージへの批判が強まっている。

　　トランプ氏は同法案への支持を固めようと自ら説得に動いており、マスク氏の公然たる非難は大統領との対立姿勢を鮮明にする。こうした発言により、法案への抵抗が強まり、減税および債務上限引き上げの成立が遅れる可能性もある。

　　「この大規模な、常識外れで、利益誘導だらけの議会歳出法案は忌まわしい愚策だ」とマスク氏はソーシャルメディアに投稿。「この法案に賛成した者は恥を知るべきだ」と述べた。

　　マスク氏は「政府効率化省（ＤＯＧＥ）」を率いるという一時的な役職を数日前に退いた。電気自動車（ＥＶ）メーカー、テスラの最高経営責任者（ＣＥＯ）であるマスク氏がトランプ政権で注目を集める役割を担ったことで、自身のビジネスブランドは損なわれ、同社のＥＶ販売は急減した。

 　　ホワイトハウスのレビット報道官は３日、マスク氏の批判を一蹴。「大統領はマスク氏がこの法案についてどう考えているか、既に知っている。これは大きくて美しい法案であり、トランプ氏は方針を貫くつもりだ」と記者団に話した。

　　共和党の財政保守派であるマイク・リー上院議員（ユタ州）は、マスク氏の批判に同調する姿勢を示し、マスク氏の公然たるスタンスが法案の可決を複雑にするリスクを浮き彫りにした。

　　リー議員はマスク氏の投稿を受けて、「上院はこの法案をより良いものにしなければならない」と訴えた。

　　一方、ジョンソン下院議長はマスク氏の批判について「非常に残念だ」と語った。

　　下院を通過した同税制法案は、今後10年間で連邦歳入を約４兆ドル（約575兆円）押し下げると見込まれている。メディケイドやフードスタンプ（食料費補助措置）など低所得者向けプログラムの削減を含めても、同期間に財政赤字は約２兆5000億ドル拡大すると予測されている。

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　　「エネルギー税控除を唐突に打ち切れば、米国のエネルギー自立と電力網の信頼性を脅かすことになる」と、テスラの太陽光発電システムや蓄電池を手掛ける部門であるテスラ・エナジーはソーシャルメディアに投稿した。この投稿は後に、マスク氏自身によって拡散された。

原題：Elon Musk Blasts Trump Tax Bill as Spendthrift ‘Abomination’ (1)（抜粋）