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インド旅客機墜落で搭乗者241人死亡、10年で最悪の事故-生存1人確認

更新日時
  • エア・インディア171便、離陸直後に住宅地に墜落
  • 生存者は英国籍の40歳男性、現在病院で治療受ける
Firefighters at the Air India crash site in Ahmedabad, on June 12.
Firefighters at the Air India crash site in Ahmedabad, on June 12. Photographer: Ajit Solanki/AP Photo

インド西部アーメダバードから英ロンドンのガトウィック空港へ向かっていたエア・インディアのボーイング機が、離陸直後に墜落した。搭乗していた乗客・乗員242人のうち、241人が死亡し、1人の生存者が確認された。ボーイングの最新鋭ワイドボディー旅客機「787ドリームライナー」による過去最悪の事故で、航空業界では過去10年超で最悪の事故となった。 

  墜落したのはエア・インディア(AI)171便。生存者は現在、病院で治療を受けているという。ソーシャルメディア上に投稿された映像には、墜落現場を黒煙が大きく覆う様子が映っている。

  地元メディアによると、生存者は英国籍で40歳のラメシュ・ビシュワスクマル氏で、レスター市出身。この男性は記者団に対し、「離陸から30秒後に大きな音がした。周りには死体があった。怖くなり、立ち上がって逃げた」と述べた。

  ビシュワスクマル氏が座っていたのは、エコノミークラスの最前列に当たる11列目の左窓側席で、非常口のすぐ後ろだった。

  警察は現場から200体を超える遺体を収容したと発表。当局は死亡者のうち乗客、乗員、周辺住民がそれぞれ何人含まれているかについては明らかにしていない。救助隊による捜索が進む中、死者数がさらに増える可能性があるとしている。

  インドのシャー内相は生存者と面会したほか、墜落現場も視察。公式な死者数については、DNA鑑定の結果を待って発表すると述べた。

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墜落現場で犠牲者の遺体を運ぶ救助隊員ら
Photographer: Sam Panthaky/AFP/Getty Images

  事故機は離陸後間もなく着陸装置を出したまま徐々に降下し、地面に衝突して大きな火球となって爆発した。墜落地点は住宅地で、多くの人が巻き込まれた恐れがある。フライト追跡サービスのフライトレーダー24のデータによれば、同機は離陸後に高度625フィート(約190メートル)に到達し、時速174ノット(約322キロ)の速度で航行していた。

  インドのモディ首相は発表文で、「言葉で言い表せないほど悲痛」な事故だと表明し、関係閣僚や当局と連絡し、人命救助を支援していると述べた。

  トランプ米大統領は、米国としてインドに支援を提供する用意があると表明。ホワイトハウスで記者団に対し「われわれにできることがあれば、直ちに現地に向かう用意があると伝えた。本当に恐ろしい事故だった」と述べた。

  米連邦航空局(FAA)の担当者は、今回の事故に関して国家運輸安全委員会(NTSB)と連絡を取り合っており、調査チームを直ちに立ち上げる準備が整っていると述べた。NTSBは、インド政府の事故調査を支援するため、米国から調査官チームを派遣すると明らかにした。米航空安全当局は米国製航空機が絡む事故の原因究明調査に協力することが多い。

  12日の米株式市場でボーイングの株価は一時5.9%下落した。終値では4.8%安。787ドリームライナーは機体が軽く燃費に優れるため、世界の航空会社の間で人気がある。同社は「当初の報告を受けており、さらなる情報収集に取り組んでいる」とした。

  事故は数日後に始まるパリ航空ショーに影を落としそうだ。パリ航空ショーは航空業界にとって年間で最も重要なイベントで、大型の契約が結ばれることも多い。今年はボーイングのケリー・オートバーグ最高経営責任者(CEO)が出席を予定しており、同社からは今のところ予定の変更などは発表されていない。

エア・インディア機墜落後に上がる黒い噴煙
Source: Bloomberg

  エア・インディアによると、搭乗していた242人の国籍はインドが169人、英国が53人、ポルトガルが7人、カナダが1人。負傷者は近隣の病院に搬送されたという。

  搭乗者数に基づくと、民間航空機の事故としてはウクライナ上空で2014年に撃墜され、298人が死亡したマレーシア航空機以来の規模になる恐れがあると、航空機事故のデータを収集している民間団体、アビエーション・セーフティー・ネットワークは指摘。エア・インディアとしては、1985年にボーイング747型機に仕掛けられた爆弾が大西洋上で爆発し、乗員・乗客329人全員が死亡した事故以降最悪となる。

  ボーイング機が絡む事故は過去数年に数回起きている。2018年10月29日にインドネシアのライオン・エア、翌年3月にはエチオピア航空の運航機がそれぞれ墜落。昨年初めには死者は出なかったものの、離陸直後に非常ドア付近の側壁が吹き飛ぶ事故が発生した。

  航空管制データによると、AI171便は現地時間12日午後1時39分にアーメダバードを出発したが、離陸直後にパイロットは管制官に向けて緊急信号を発した。その後、管制官からの呼び掛けに操縦室からの応答はなかった。

  機長は8200時間、副操縦士には1100時間の飛行時間があったという。

Wreckage and debris following the crash in Ahmedabad.
エア・インディア機の墜落現場(インド・アーメダバード)
Photographer: Ajit Solanki/AP Photo

  タタ・グループ傘下のエア・インディアは現在、大規模な機材発注を含む戦略的な事業再建の途上にあり、急成長するインドの中間層による旅行需要の取り込みを目指している。

  航空データ分析会社シリウムによると、エア・インディアはボーイング787を34機運航しており、保有機の機齢は2年強から14年近くまで、大半は10年余りだという。

  事故機の機齢は約12年で、米ゼネラル・エレクトリック(GE)のGEnxエンジンを2基搭載していた。GEアエロスペースは、インドに派遣する緊急対応チームを編成しているとX(旧ツイッター)に投稿した。

原題:Air India Crash Kills 241 on Board in Worst Accident in YearsBoeing 787 Headed to London From India Crashes With 242 on Board、204 Bodies Found at Air India Crash Site: Police、‘I Got Up and Ran’: One Man Survives Plane Crash That Killed 241(抜粋)

(生存者の名前とSNSの動画を加えて更新します)
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