イランは降伏しない、ハメネイ師がトランプ氏の要求に反発
Josh Wingrove、Stephanie Lai、Arsalan Shahla-
トランプ氏の無条件降伏要求に、「回復不能な損失」負わせると反発
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イランの攻撃に沈静化の兆し、イスラエル当局は一部で安全規制緩和
イランの最高指導者ハメネイ師は、トランプ米大統領が呼び掛けたイスラエルに対する降伏を拒否した。
ハメネイ師は自身の公式ウェブサイトに掲載した発表文で、「イランは降伏するような国でないと米国民は理解するべきだ」と主張、「米国による軍事侵略があれば、いかなるものであろうが間違いなく回復不能な損失を負うことになる」と続けた。
イランとイスラエルの交戦は6日目に入った。トランプ氏は17日、国家安全保障チームと緊迫化する中東情勢について協議しており、米国がイスラエルのイラン攻撃に近く加わるとの観測が再燃している。
事情に詳しい複数の関係者によると、会合は1時間余り続いた。ホワイトハウス当局者は協議終了後もコメントや声明を控えている。トランプ氏は協議終了後にイスラエルのネタニヤフ首相と会談したと、ホワイトハウス当局者は明らかにした。
ただ、イランによるミサイル、ドローン攻撃が落ち着きを見せ始めたとして、イスラエル当局は一部の安全規制を緩和している。
攻撃が弱まった理由は現時点では明らかになっていない。イスラエル軍は数日前、イランのミサイル発射台の約3分の1にあたる120基を破壊し、今後の攻撃を阻止する目的で製造施設を標的にしたことを明らかにしていた。
イスラエル政府によると、イランは13日以降、弾道ミサイル400発と数百機のドローンを発射し、これまでに24人が死亡、800人以上が負傷した。16日午前から死者は報告されていない。イランの攻撃が最も激しかったのは13日から週末にかけてで、約300発のミサイルが発射された。その大半はイスラエルに迎撃された。
米国が直接的な軍事行動に加われば、イランの核開発を恒久的に葬ることができる可能性は大きく増す。だが、中東全域を混乱に陥れるリスクもはらむ。
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トランプ政権は今のところ攻撃の参加には応じず、米国としてあくまでイランからイスラエルに向け発射されたミサイルの迎撃支援をしているに過ぎないとしている。
慎重に扱うべき問題を話しているとして匿名を要請した2人のイスラエル高官は、同国は米国の支援がない前提で作戦を計画しており、必要なら単独で遂行可能だと主張した。イスラエルは既にイランのミサイル防衛システムの大部分を破壊し、ナタンズのウラン濃縮施設も損傷させるなど、困難な作戦の多くは完了したと高官の1人は説明した。これにより米国は地上軍を投入することなく、安全保障上の大きな優位を確保できたことになる。
国家安全保障チームとの会議から数時間後、ホワイトハウスはトランプ氏がパキスタン軍トップと会談すると発表した。パキスタンはイランと関係が深く、米国とイランの仲介役を務める意思を示している。

トランプ氏は安全保障会議の前に、イランの「無条件降伏」を要求し、ホメイニ師を直接攻撃する可能性も示唆していた。
トゥルース・ソーシャルへの投稿で「いわゆる『最高指導者』がどこに隠れているか、われわれは完全に把握している。狙いやすい標的だが、そこにいる限りは安全だ。少なくとも今のところ排除(殺害)するつもりはない」と述べた。
イランは引き下がる構えを見せず、米国がイスラエルの攻撃に直接関与するなら軍事力で対応する意思を繰り返し示している。
こうした中、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、トランプ氏が攻撃作戦を開始した場合に備え、イランが中東の米軍事施設に対する報復攻撃に向けミサイルを準備していると報じた。
トランプ氏はまた、「われわれは今、イラン上空の制空権を完全に掌握している」とソーシャルメディアに投稿。イスラエルの制空権確保は米軍の装備による支援の成果だとの見解を示した。

地下核施設に損傷
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は18日、イスラエルの攻撃によって、イランの主要なウラン濃縮施設が「ひどく損傷」したと明らかにした。
同事務局長はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで語った。フォルドゥにある地下濃縮施設は、現在のところ損傷していないという。
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中国とロシアの動き
中国の習近平国家主席はこの日、イスラエルによるイランへの軍事行動によって中東情勢が緊迫していることに「深い懸念」を表明。関係各国に対して事態の早期沈静化を呼びかけた。
習氏はウズベキスタンのミルジヨエフ大統領との会談で「他国の主権や安全保障、領土一体性を侵害するいかなる行為にも反対し、軍事的な衝突は解決策ではないと考える」と述べた。中国外務省が発表した。さらに習氏は「中東の平和と安定の回復に向けて中国が建設的な役割を果たす用意がある」とも語った。
習氏の発言に先立ち、中国外務省は米国に対し、イスラエルへの影響力を行使して紛争の拡大を防ぐよう促した。原油輸入の約3分の1を依存する中東地域の不安定化に中国が懸念を強めていることの表れとみられる。
中国外務省の郭嘉昆報道官は同日の定例記者会見で、「中国は関係各国、とりわけイスラエルに特別な影響力を持つ国々に対し、相応の責任を果たし、緊張の緩和と紛争拡大防止に向けた即時の対応を取るよう求める」と語った。
ロシアのプーチン大統領は今週中に習氏と電話会談を行い、中東情勢について協議する見通しだという。インタファクス通信がロシア大統領府のウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)を引用して伝えた。
同大統領府によると、プーチン氏は18日、アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領と電話会談し、イランとイスラエルの仲介役を担う用意がロシアにあることを伝えた。
原題:Iran’s Leader Shows Defiance With US Weighing War Intervention、Putin to Discuss Middle East With China’s Xi This Week: IFX、Xi Says China Ready to Play Role in Restoring Middle East Peace、Iran’s Missile Attacks Wane, Allowing Israel to Start Reopening(抜粋)